狩猟期間っていつからいつまで?
県庁職員として狩猟を担当していた筆者が狩猟期間について解説いたしますので、狩猟を行う方はぜひご覧ください。

狩猟期間っていつからいつまで?


狩猟は狩猟期間内に限り行うことができます。
ただし、狩猟期間は都道府県によって、また鳥獣によって異なる場合があります。
狩猟期間外に捕獲許可を得ずに鳥獣を捕獲した場合は鳥獣保護管理法違反となってしまいます。
そのようなことが起きないように狩猟期間がいつからいつまでなのか確認しておきましょう。

 

ここでは、県庁職員として狩猟を担当していた筆者が狩猟期間について解説いたしますので、狩猟を行う方はぜひご覧ください。

狩猟期間の見直し

現在、数年に一度の頻度で、鳥獣の生息状況等を勘案し、環境省にて狩猟期間の見直しが行われています。
令和4年9月15日付けで見直しがされていますので、要確認です。

令和4年9月15日付けの見直し内容

青森県、秋田県、山形県では、カモ類の狩猟期間が北海道を除く他地域より15日早く、11月1日~1月31日に設定されていましたが、この規定が撤廃されました。

令和4年度の猟期からは青森県、秋田県、山形県でのカモ類の狩猟期間は、その他の狩猟鳥獣と同じ11月15日~2月15日に変更になりました。
昨年度と同様の狩猟期間と勘違いし、11月14日以前にカモ類を捕獲した場合は鳥獣保護管理法違反となってしまいますので、青森県、秋田県、山形県で狩猟をされる方はお気をつけください。

狩猟期間の定義

鳥獣保護管理法では狩猟期間を以下のように定義しています。

鳥獣保護管理法第2条第9項

この法律において「狩猟期間」とは、毎年10月15日(北海道にあっては、毎年9月15日)から翌年4月15日までの期間で狩猟鳥獣の捕獲等をすることができる期間をいう。

あれ?知っている狩猟期間と違うなと思われた方もいるかもしれません。
一般的に知られている狩猟期間より長い期間が規定されています。
では、一般的に知られている狩猟期間とは何なのでしょうか。

覚えておくべき狩猟期間

鳥獣保護管理法第11条第2項

環境大臣は、狩猟鳥獣(鳥類(狩猟鳥獣のうちの鳥類に限る。)のひなを含む。以下「対象狩猟鳥獣」という。)の保護を図るため必要があると認めるときは、狩猟期間の範囲内においてその捕獲等をする期間を限定することができる。

鳥獣保護管理法第2条第9項において、「毎年10月15日(北海道にあっては、毎年9月15日)から翌年4月15日までの期間」と定義されている狩猟期間は、法第11条第2項によって環境大臣が期間を限定した結果、一般的に知られている狩猟期間になっています。
行政が作成する文書などで特に断りもなく「狩猟期間」と使用されている場合は、期間限定後の狩猟期間を意味して使用しているのが普通です。

期間限定後の狩猟期間は鳥獣保護管理法施行規則第9条に定められています。
狩猟期間として覚えるべきは下記の期間です。
このページにおいても以降「狩猟期間」と使用した場合は下記の期間を指します。

区域 狩猟鳥獣の捕獲等をする期間
北海道以外の区域

毎年11月15日から翌年2月15日まで
(猟区の区域内においては、毎年10月15日から翌年3月15日まで)

北海道の区域

毎年10月1日から翌年1月31日まで
(猟区の区域内においては、毎年9月15日から翌年2月末日まで)

狩猟期間の延長

鳥獣保護管理法第14条第2項

都道府県知事は、第二種特定鳥獣が狩猟鳥獣であり、かつ、その狩猟期間が第11条第2項の規定により限定されている場合において、当該第二種特定鳥獣に係る第二種特定鳥獣管理計画の達成を図るため特に必要があると認めるときは、当該狩猟期間の範囲内で、当該第二種特定鳥獣に関し、同項の規定により限定された期間を延長することができる。

用語について簡単に説明しますと、都道府県知事は生息数が著しく増加し、又は生息地の範囲が拡大している鳥獣について、当該鳥獣の管理に関する計画を定めることができるとされており、計画対象鳥獣を「第二種特定鳥獣」、定められた計画を「第二種特定鳥獣管理計画」といいます。

 

例えば、都道府県知事がニホンジカの第二種特定鳥獣管理計画を定めた場合、都道府県知事はニホンジカのみについて狩猟期間を延長することができる旨が鳥獣保護管理法第14条第2項に規定されています。
期間を後ろに延長するだけではなく、期間開始前に前倒しの延長も可能です。

 

この制度を利用して狩猟期間を延長している都道府県は多くあります。
都道府県によって対象鳥獣や延長期間が異なるので、各都道府県にご確認ください。対象鳥獣以外の鳥獣を延長期間中に捕獲した場合は、鳥獣保護管理法違反になりますのでお気をつけください。
参考に広島県ではイノシシ、ニホンジカともに2月末まで延長しています。

網・わな猟の留意点

網猟とわな猟については、猟期開始前と猟期最終日は注意が必要です。

鳥獣保護管理法第83条第1項

次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する

 

第2号
狩猟可能区域以外の区域において、又は狩猟期間(第11条第2項の規定により限定されている場合はその期間とし、第14条第2項の規定により延長されている場合はその期間とする。)外の期間に狩猟鳥獣の捕獲等をした者(第9条第1項の許可を受けた者及び第13条第1項の規定により捕獲等をした者を除く。)

鳥獣保護管理法第83条第2項

前項第1号から第2号の2まで、第4号(第35条第2項、第36条又は第38条に係る部分に限る。)及び第5号の未遂罪は、罰する

鳥獣保護管理法第83条第1項において狩猟期間外の期間に狩猟鳥獣の捕獲等をした者は罰する旨が規定されており、第2項においてはその未遂罪も罰する旨が規定されています。
狩猟期間外の期間に狩猟鳥獣の捕獲等をしようとしただけで違反になるということです。

 

では、網・わな猟において未遂と判断されるのはどのようなことをしたときでしょうか。
環境省は以下のように説明しています。
『着手時期(これ以降は「未遂」と判断される時期)は、「捕獲行為に密接した行為(捕獲等という結果発生の現実、具体的な危険が発生)が行われた時」と解される。
網猟又はわな猟の場合は、捕獲等が禁止されている鳥獣を捕獲等する目的で、網又はわなを仕掛けたときと解される。これは、網又はわなを設置した(網又はわなとして鳥獣を捕獲等できる状態になった。)時点で、当該鳥獣が捕獲される具体的危険が発生していると考えられるため、この時点を着手時期とするのが適当と考えられるためである。』

 

実際に捕獲するのは猟期に入ってからだから大丈夫と勘違いし、猟期前日から網又はわなを設置していると違反になりますし、また、猟期最終日においても網又はわなを設置したままにして、猟期を明けてしまうと違反になりますので注意が必要です。
猟期前には設置しない、猟期終了までに撤去するというのがベストであるのは言うまでもありません。
ただし、「鳥獣を捕獲等できる状態」になっていなければ未遂ではないので、例えば箱わなであれば、扉を閉めたり、また、扉を開けた状態でストッパーをし、扉が落ちないようにしておくなどの対応方法はあります。

銃猟の時間的制限

網・わな猟は24時間捕獲が可能ですが、暗がりでの銃猟については銃砲の発射により人間に危害を生ずるおそれもあるので制限がされています。

鳥獣保護管理法第38条第1項

日出前及び日没後においては、銃器を使用した鳥獣の捕獲等(以下「銃猟」という。)をしてはならない。

環境省は以下のように説明しています。
「この日出前又は日没後は、事実上の日光の明暗によって定めるべきではなく、当該地点における太陽面の最上点が地平線上に現れ、又は地平線下に没した時刻、すなわち暦にいう日出又は日入によって決められる。
日出・日入の時間は毎日少しずつ変わっていきますので、銃猟を行う際は当日の日出・日入の時間を把握しておきましょう。
参考に国立天文台のホームページを掲載しておきます。
各地のこよみ

 

法第38条違反においても未遂罪が規定されています。
では、銃猟において未遂と判断されるのはどのようなことをしたときでしょうか。
環境省は以下のように説明しています。
『着手時期(これ以降は「未遂」と判断される時期)は、「捕獲行為に密接した行為(捕獲等という結果発生の現実、具体的な危険が発生)が行われた時」と解される。
銃猟の場合は、銃で捕獲等が禁止されている鳥獣にねらいを定めたときと解される。
これは、大正時代の判例で、「銃を擬したる」時に捕獲があったとする判例があること、及び、銃でねらいを定めれば、後は引き金を引くだけであり、当該鳥獣の違法捕獲の具体的な危険が発生していると判断できることから、これをもって捕獲行為に着手した判断するのが妥当と考えられるためである。』

 

狙いを定めただけで未遂になりますので、鳥獣に発砲し銃弾が外れて逃げられた場合ももちろん未遂になります。
例えば、日没になったので帰途についた後に狩猟鳥獣が飛び出してきた場合、狙いを定めただけで未遂になりますので、お気をつけください。

罰則

狩猟期間(延長されている場合はその期間)外に狩猟鳥獣を捕獲した場合

一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処されます。
未遂も同様の懲役又は罰金に処されます。

鳥獣保護管理法第83条第1項

次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する

 

第2号
狩猟可能区域以外の区域において、又は狩猟期間(第11条第2項の規定により限定されている場合はその期間とし、第14条第2項の規定により延長されている場合はその期間とする。)外の期間に狩猟鳥獣の捕獲等をした者(第9条第1項の許可を受けた者及び第13条第1項の規定により捕獲等をした者を除く。)

鳥獣保護管理法第83条第2項

前項第1号から第2号の2まで、第4号(第35条第2項、第36条又は第38条に係る部分に限る。)及び第5号の未遂罪は、罰する

日出前及び日没後において銃猟をした場合

一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処されます。
未遂も同様の懲役又は罰金に処されます。

鳥獣保護管理法第83条第1項

次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する

 

第4号
第25条第1項、第26条第1項、第35条第2項、第36条又は第38条の規定に違反した者

鳥獣保護管理法第83条第2項

前項第1号から第2号の2まで、第4号(第35条第2項、第36条又は第38条に係る部分に限る。)及び第5号の未遂罪は、罰する

まとめ

・狩猟期間の見直しが行われ、令和4年度の猟期からは青森県、秋田県、山形県でのカモ類の狩猟期間は、その他の狩猟鳥獣と同じ11月15日~2月15日に変更になった。
・狩猟期間は定義上、「毎年10月15日(北海道にあっては、毎年9月15日)から翌年4月15日までの期間」となっているが覚える必要はない。
・覚えるべきは期間限定後の狩猟期間であり、北海道以外の区域では毎年11月15日から翌年2月15日まで、北海道の区域では毎年10月1日から翌年1月31日まで。
・都道府県によっては第二種特定鳥獣について狩猟期間を延長している場合がある。
・網猟とわな猟については、猟期開始前と猟期最終日は未遂にならないように注意が必要。
・日出前及び日没後においては、銃猟をしてはいけない。

 

なるべく分かりやすい説明を心がけましたが、参考になったでしょうか。
狩猟者登録の手続きに不安のある方や申請書の作成を依頼したいという方はお気軽に当事務所までお問い合わせください。

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